Mogwai / Every Country's Sun

幽玄でアトモスフェリックなシンセ等の装飾はあるものの、ギターにベース、ドラムが楽曲構成の根幹を担い、リズムは終始一貫して直線的で、ジャズ由来の音色や変拍子等の所謂 (要するにシカゴの)ポストロックを特徴付ける要素は皆無と言って良い。
Mogwaiのキャリアを熱心に追い掛けてきた訳では全くないので実際のところは判らないが、限り無くロック寄りのポストロックという、個人的なイメージ通りのサウンドが展開されている。

それどころか瑞々しいメロディが印象的なヴォーカル入りのM2等は、まるでJoy Divisionかそうでなければシューゲイザーのようなポストも付かないロック・ナンバーだが、「Party In The Dark」というタイトルが喚起させる光景と相俟って久々にライヴ・ハウスに行きたくなるような否定し難い魅力を備えている。

後半に入ると更にラウド/クワイエット/ラウド・ダイナミクスが懐かしいM8や、メタリックなギター・リフが「Siamese Dream」の頃のSmashing Pumpkinsを思い起こさせるM9、Soundgarden辺りを彷彿させるグランジ風のM10等、90’sアメリカン・オルタナティヴを連想させる楽曲が並んでいる。

残響が織り成すアンビエンスや、M11の嵐のような吹き荒ぶフィードバック・ノイズと叙情的なメロディの組合せはまるでBloodthirsty Butchersのようで、つまり30代後半から40代前半くらいの人間にとっては青春時代を追体験するような内容になっている。
革新的なところは全く無いし、ワンパターンと言えばその通りで、単調で中弛みする瞬間も無くはないが、どうしたって自分には嫌いになりようがない作品ではある。