Sharon Van Etten / Remind Me Tomorrow

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Bon IverやThe National界隈の人というイメージを持っていただけに、アタックの強いドラム音や微かにThe Cureに通じるような少しゴスの入ったニューウェイヴといった感じのサウンドには些か意外性があった。
旧作は未聴で、どの程度の変化があるのか見当が付かないが、相応に挑戦的な作品であろう事は何となく想像が付く。

M2のイントロのドラムマシンによるビートはSmashing Pumpkins「Ava Adore」にそっくりで、M8で頻繁に挿入される歪んだシンセ・ブラス的音色も「Pug」を思い起こさせる。
尤もBilly Corganのような過剰なメランコリアやナルシズムは無くもっと乾いているが。

M5等のノイズ混じりのシンセ・ポップのドリーミーでサイケデリックな質感はBeach Houseに通じなくもないし、M4やM6等の80’sニューウェイヴ臭はSt. Vincentの近作を彷彿とさせたりもする。
M9のフィードバック・ノイズはなかなかに壮絶で、ギターが直接的に使われる瞬間は殆ど無くストロークも皆無だが、幾重にもレイヤーされたシンセとノイズにはシューゲイズ的な感覚もある。

アルバム全編を通じて凝り固まって退屈なインディ・フォークやらチェンバー・ポップやらをとにかく逸脱せんとする意思が強烈に伝わってくるが、Bon Iver程の極端な音響も無いし、先ずアウトプットとして出てきたサウンドが何れも既視感のあるものばかりで新鮮味には欠けるし何よりフックに乏しい。