Run The Jewels / RTJ4

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とうとうRun The Jewelsのアルバムも4作目を数え、枚数の上ではCompany FlowもEl-Pのソロも超えた事になる。
二人共最早ソロ作品を作る気配すら見せず、コンスタントにリリースを重ねる様子から察するに、El-PにとってもKiller MikeにとってもパーマネントなプロジェクトとしてRun The Jewelsを定めたという事だろう。

本作では遂にDJ PremireやPharrell Williamsと繋がって、最早アンダーグラウンドではまるでない。
El-PにとってのCompany FlowはDave GrohlにとってのNirvanaのようなものかも知れない(知名度という意味で言うならScreamの方が適切だろうか?)と思うと、Company Flowのファンとしては些か複雑な思いもある。

前作までと較べてブレイクビーツの比重が高く、特にM5のコーラス部のドライヴ感は堪らない。
Little Simz「Grey Area」やTyler, The Creator「Igor」に感じたブレイクビーツ復権がここでも確認出来る。
M3のビートにはエレクトロニックな質感もあるが、前作までのハイファイなそれよりもオールドスクール・エレクトロのようで、スクラッチやヴォーカル・チョップもこれでもかと詰め込まれている。

DJ Premierに加えてGreg Niceまでも召喚してGang Sterr「DWYCK」をリメイクしたM2に象徴されるように、90’s回帰は明白だが、とは言え元からトレンドとは一切無関係なだけに、特に大きく変化した印象は無い。
中年ラッパーが二人でこれだけマイペースに活動しながらインパクトを残し続けているというのは、ことヒップホップに於いては実に稀有な事のように思える。