EOB / Earth

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如何にもなジャケットから勝手にエレクトロニック・ミュージックを想像していただけに余りのRadiohead振りに拍子抜けした。
(勿論「Radiohead的」なるものが多様化し過ぎた結果ではあるだろうけれども。)
Thom Yorkeが歌えばそのままRadioheadになりそうな楽曲の数々からは、逆説的にEd O’Brienのバンドへの貢献が良く解る。
と同時にRadiohead程メンバー間の役割分担が良く判らないのも稀有で、本当に民主的なバンドなのだなと思い入る。

フォーキーな序盤から一転、中盤からイーヴン・キックのビートが牽引するM2等、エレクトロニクスは皆無というでは訳ないもの、Thom Yorkeのソロと較べるとダンス・ミュージックの要素は希薄で、反復は重要な要素ではあるが寧ろクラウトロック的とも言え、Radioheadで言えば「Hail To The Thief」や「In Rainbows」に近いだろうか。

ヴォーカルの発声からもThom Yorkeの影響を感じる(時折Anthony Kiedisみたいに聴こえる事もある)が、声自体は至ってプレーンで、改めてRadioheadサウンドを特別なものにしている要素の内の、Thom Yorkeの歌声が占める比重の高さを思い知らされる。
と言うとまるで本作がスペシャルではないと宣言しているよう(事実そう)だが、フロントマン以外によるソロ作品としては及第点以上の出来だとも思う。

M1等では今やRadioheadではすっかり聴けなくなったディストーション・ギターも登場するが、「The Bends」以前のそれとは異なり妙な軽さが印象的で、必ずしもバンドをなぞるばかりとも言えない。
グルーヴィなベースとドラムが牽引するM8は部分的には「The National Anthem」なんかを彷彿とさせなくもないが、一方でThe Stone Roses(の2枚目)や(単なるイメージだが)The Chemical Brothersを連想させたりもして少しむず痒い、が故に強烈なフックにもなっている。