Jessie Ware / What's Your Pleasure?

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アルバムの少なくとも前半5曲はキラー・チューン。
M1、M5は豪奢なストリングスやコーラスがバレアリックな雰囲気を醸し出すオーケストラルなガラージ/ハウス。
M2はBlondieみたいだし、パーカッシヴなM3はレトロを狙った感じのコーラスが少しTom Tom Clubを彷彿とさせ、要するに強烈にディスコ/ニューウェイヴ臭を放っている。

M4のエレクトロ・ファンクには同時にブロークン・ビーツっぽさもあり、例によってSbtrktが関わっているのだろうと思ったら、全編に渡りプロデューサーを務めているのがSimian Mobile Discoのメンバーというのは少し意外ではあったが、改めて本作を特徴付けているエレクトロのシンセ・ベースを聴いて妙に納得するところもあった。

中盤は(と言ってもM6とM7の2曲くらいだが)ややレイドバック/トーンダウンするが、再びストリングスやブラス・セクションが躍動するM8、ファンク/ディスコ調のシンセ・ベースとギター・カッティングがファンキーなM9のエレクトロ・ファンクで盛り返し、ラストは流麗なフィリー・ソウル風で大団円を迎える。

フューチャー・ガラージの歌姫から、現代のDonna Summerへと華麗なる変貌を遂げ、ジャケットの太眉も何ともディスコ・クイーンのそれっぽい。
戦略的にレトロを標榜したのは間違いないが、最早如何なる時代もフラットでリヴァイヴァルが成立し得ない現代に於いてその点は評価にも悪評にも繋がらないが、そんな事を抜きにしても充分に魅力的な一枚であるのは間違いない。