Fleet Foxes / Shore

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柔らかなギターと透き通った女声ヴォーカルが醸出するアンビエンスがLowを彷彿させるM1はやや意外で期待感を煽られるが、すぐさまシームレスに始まるM2では、男臭いとまでは言わないものの実直そうで、悪く言えば没個性な男声ヴォーカルが聴こえてきて、また変わり映えのしないアメリカン・インディかと些かがっかりさせられる。

とは言え只管大らかでポジティヴィティ溢れるメロディは清々しくもあり、ヴォーカルの声質こそMichael StipeよりもPeter Buckに近いが、何処かR.E.M.を彷彿とさせたりもして、決して嫌いという訳ではない。
(事ある毎にR.E.M.との類似性を理由にして、自分を安心させようとするのは悪い癖だと自覚してはいるのだが。)

在り来たりなフォーク・ロックに堕する一歩手前のところを、大らかなブラスの音色が救済となっており、刺激的な音色を用いながら何処か退屈な印象が拭えなかったSufjan Stevensの新作とは実に対照的である。
4/4のリズムがEmir Kusturicaの映画に出てくるジプシー集団の演奏か、Broken Social Sceneみたいな大所帯バンドを連想させる楽曲もある。

M11のピアノとギターのユニゾンはある種ポスト・ロック的で、何処かTortoiseや、そこまでのダイナミズムは無いもののBattlesとの近親性さえ感じるのは自分だけだろうか。
フォーク・ロックにアメリカーナ、ポスト・ロックが入り混じった音楽性から、結果一番近いと思うのはGrizzly Bearだったりする、と思っていたら大半の楽曲でGrizzly Bearのメンバーが参加していて大いに納得した。