Carly Rae Jepsen / Dedicated Side B

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品の無いイーヴン・キックや芝居掛かった歌唱がチージーを通り越して陳腐極まりないM1のダンス・ポップは耐えがたい程に恥ずかしくとても聴いていられない。
Madonnaを彷彿とさせる軽薄な歌声が好みでないのは確かだが、それ以上に全く論理的に説明の付かない拒否反応や嫌悪感が沸き起こる。

少し冷静になると、ファンク風ポップのM2のウェルメイド振りは例えば個人的に昨年大いに気に入ったHaimとどれ程の違いがあると言うのか。
M7は2020年らしいレトロなディスコ調でJessie WareやRóisín Murphyと並べても違和感は無いし、80’sポップス・ムードが濃厚なM9にはThe Weeknd「Blinding Lights」と非常に良く似た感覚がある。

M4やM8等も80’sエレポップ風とブロステップ、或いは今風に言うならバブルガム・ベースが合わさったようで、Charli XCXとそれ程大差は無いかも知れない。
確かに耳触りの良いサウンドで、ノイズに分類されるエクストリームな音色は一切無く、音色/音響面での聴きどころは皆無と言って良い。
Charli XCXのようなメタ・ポップ的な感覚も希薄で、どう聴いてもBritney Spearsの延長線上に居るとしか思えない。

メロディにも捻りはなく凡庸としか言いようがないが、悔しいかなそのポップネスに抗えない自分が居るのも確かで、或いはBeyoncé「Lemonade」にノックアウトされて以降間口を広げ過ぎた結果もう頭がどうにかなってしまったのかも。
M1さえ無ければ割とすんなり受け入れてしまっていたかも知れない。