Bicep / Isles

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単なる宣伝文句かも知れないが、ネクストDisclosureというのも全英チャート初登場2位という結果を前にしては強ち大袈裟では無いと思わざる得ない。
Ninja Tuneにとっても久々のヒット(と言う程そもそもNinja Tuneがそれ程大ヒットを産んだ記憶は無いのだが)で、かのレーベルに勝手に恩義を感じている身からすれば喜ばしい事ではある。

但しDisclosure「Energy」とは違って必ずしもフロア志向一辺倒という訳でもない。
トランシーなシンセ・リフは全く無くなっている訳ではないものの、レイヤーは控え目になって、前作の煌びやかさは何処か鳴りを潜めた印象がある。
ノンビートのブレイクも長くなり、とにかく脱フロア(と言う程踊れない訳ではないのだが)を試行する様が良く伝わってくる。

前作に較べるとストレートなイーヴン・キックは減って、ガラージドラムンベースに近いビートが増えた感がある。
M1のダウンビートで打たれるキックは典型的な2ステップのビートだが、揺蕩うようなシンセ・シーケンスが「Selected Ambient Works 85-92」を彷彿とさせ、Martynなんかに近い印象があるし、M4の5/4拍子のキックのガラージはFalty DLを思い起こさせたりもする。

ビートのヴァリエーションが増えた分、相対的に上物への依存度が下がった印象だが、ビートがそれなりの期待をさせる分、余計にメロディの凡庸さが気にはなる。
どのトラックもマイナー・コードのメランコリックな曲調で、フックになるような瞬間がまるで無いのが痛い。
総合的にはまだファーストの方が個性があったかも知れないと思う。