Leon Bridges / Gold-Diggers Sound

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Robert GlasperとTerrace Martinに加えてCarlos Niñoまでもが参加しており、要するにジャズとヒップホップの境界線上に位置するR&Bという点で、自ずとMoses Sumneyが想起される(耽美的なヴォーカルも何処か似ている)が、プログレッシヴなインディ・ロックやチェンバー・ポップ的な要素は無い。

ビートは生ドラムばかりという訳ではないにせよ、M1なんかは何処か懐かしく素朴な感じのするブレイクビーツで、トラップ・ベースのビートは皆無。
上音にもシンセによるアンビエント感は希薄で器楽音が主軸になっており、特にホーン・セクションの存在感が強いのはTerrace Martinの貢献が大きいのだろう。

M3等はMiguel辺りに通じる感じもあるけれど、相対的に所謂オルタナR&Bといった感じは希薄で、寧ろオーセンティックなソウルの印象が強い。
そこまでオールドスクールだとは思わないものの、Sam CookeOtis Reddingの名前を比較対象に挙げたくなる気持ちも解らなくはない。

形式張ってきたオルタナR&Bに些か食傷気味なだけに、その点に於いては好感が持てるものの、それにしてもまぁ兎に角引っ掛からない。
音色の面でも音響の面でも強度に欠けるし、ソングライティングは凡庸でフックに乏しく、決して良いでは意味なく頭からお尻まですっかり聴き流せてしまう。