Mastodon / Hushed And Grim

f:id:mr870k:20211225002234j:plain

メタル・アレルギー持ちの自分が、それでもMastodonだけは(それ程熱心にではないが) 聴けたのは、単にプログレッシヴ・メタルの「プログレッシヴ」の部分に依るところ大きい。
その意味で(多少自分に言い聞かせるような部分はあったにせよ)The Mars Volta等と並列にMastodonを需要してきたと言えるが、本作でいよいよその大義名分は失われたように感じる。

テクニカルな変拍子等の要素が無くなった訳ではないし、M8やM9冒頭はどちらかと言えばポスト・ハードコア或いマスロック風で全く嫌い曲ばかりという訳でもないものの、いつもの事ながら先ずアルバム全体の尺が長過ぎる。
特にM10以降にはSmashing Pumpkins「Machina / The Machines Of God」後半と同質の冗長さがあり完全に蛇足に思える。

特に耐え難いのがスラッジ・メタルは何処へやら、ハイトーンで朗々と湿っぽいメロディを男臭く歌い上げるようになったヴォーカルで、M5やM9、M15に至っては最早Soundgarden(と言うかChris Cornell)みたいで暑苦しい事この上無い。
至るところで聴こえる安っぽいキーボードによる装飾も逆効果だとしか思えない。

勿論速弾きやスラッシュ・メタルのギター・リフ、ハーモニー等のメタルのクリシェは残ってはいるものの、脱プログレッシヴであると同時に脱メタルだと言っても良い内容で、最早普通のハード・ロックオルタナティヴ・ロックと呼ぶ方が妥当に思える。
そしてそれはつまり退屈で詰まらないという事の同義語でもある。