Black Country, New Road / Ants From Up There

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Squidが思いの外良かったので購入してみたが、吐き捨てるようなヴォーカル・スタイルを抜きにすればポスト・パンクの一言で済まされる音楽ではまるでない。
ヴォーカルにしてもSquidに較べればしっかりとメロディを歌っており、投げやりなようでいて同時に熱量が高いその様は寧ろKing Kruleを彷彿とさせる。

管弦楽器奏者をパーマネント・メンバーとして抱えるバンドだけあって想像の範囲内ではあるが、サックスとヴァイオリンの音色がある種のジプシー音楽的なイメージを喚起し、Broken Social SceneとかJaga Jazzistとかいった名前を連想させる。
或いはまるきりQueenみたいM2は初期のDirty Projectorsを想起させたりもする。

パンクの要素があるとすればやはり時折聴こえるディストーテッドなギターで、轟音という程ではないが、長尺のM12はMogwaiGodspeed You! Black Emperorを彷彿とさせる。
時間を掛けて徐々にビルドアップする展開や静と動のダイナミクスは、ポスト・パンクというよりもポスト・ロック的だと思ったりもする。

とは言え殆ど無音に近い瞬間もあり、全体的には静謐で牧歌的な印象で、ファーストは未聴なので憶測の域を出ないが、敢えて如何にもポスト・パンクに有りがちな表現を避けたであろう事は想像に難くない。
それが成功しているのか否かは今一つ判断が付かないが、如何にも若者らしい反骨精神には共感を覚える (と言うか微笑ましい)。