
M2は明らかにOutkast「B.O.B」のオマージュだが、だからと言って殊更にダーティ・サウス・リヴァイヴァル的という訳でもなく、M6等は寧ろGファンク臭を漂わせている。
他にはSZAを迎えてのポップ・ラップ調のM4やジャズ・ヒップホップ風のM9、Mac Miller「Circles」にも通じるような静かにエモーショナルなM11があったりと、ビートも曲調もバラバラで統一感には欠ける。
特に2026年に入ってからASAP Rocky「Don't Be Dumb」や最近だとBaby Keem等、トラック毎のスタイルの多様化を感じさせる作品に出会う機会が増えた印象がある。
トラップ/ドリルやブーム・バップとか、イーストやウエストやサウスとか、コンシャスやハードコアやギャングスタだとかいったヒップホップの類型やフレームが融解して急速に無効化しつつあるように思える。
本作に関して言うと、Baby Keemほどポップに振り切っている訳ではないし、レイジ風のシンセ等も無く音色的にはオーガニックな質感で統一されている。
佳曲もそれなりにはあるのに今一つ肩入れ出来ないのは、統一感の無さが問題というよりも前半のオルタナティヴ・ヒップホップ的なヴァラエティと比べると中盤以降の平坦さや地味さの落差が大き過ぎて拍子抜けしているだけなのかも知れない。
何れにせよ1人のアーティストのアルバムを聴いているという感覚は希薄で、プレイリストを垂れ流しにしているのに近い感覚がある。
ラップの声質やフロウに多様なスタイルの楽曲を1つの世界観に繋ぎ止めるに足るだけの個性が無いというのが大きいのかも知れない。
アルバムを通底するストーリーテリングや統一されたトーンが無くてはならないという古い固定観念が試されているような気分にもなってくる。





