2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Vince Staples / Ramona Park Broke My Heart

Kenny Beatsを招聘してサンプリング・ベースのヒップホップへの回帰を覗かせた前作に対して、トラップ・ベースのビートとアンビエント的なシンセ主体の上物によるエレクトリックな質感が基軸となっている。但しグライムやバブルガム・ベースとの同調を見せた…

Arcade Fire / We

宛らU2みたいに勇壮で些かヒロイックなM1の冒頭こそ想定の範囲内だが、中盤でシンセ・ベースのアルペジオを合図にしてエレクトロ風ともディスコ・パンク風とも呼べる曲調に変化するのには多少の意外性もあった。続くM2の4つ打ちのドラム・ビートにもTame Im…

Spiritualized / Everything Was Beautiful

ローファイと言えば聞こえは良いが、何処か弛緩した印象のあった前作に較べて格段に音の厚みが増し、冗長さは雲散霧消してSpiritualized本来の、冗談みたいな壮大さやユーフォリアが復活している。これが逆説的な意味でも何でもなくCOVID-16パンデミックにイ…

Sufjan Stevens And Angelo De Augustine / A Beginner's Mind

最近は他人とのコラボレーション活動が目立つSufjan Stevensだが、継父とのアルバムはアンビエント/ニュー・エイジだったと人伝に聞いていたし、本作は各曲毎に1つの映画(しかも有名な大衆映画ばかり)を題材とした作品という事で企画物を予想していたが…

Kurt Vile / (Watch My Moves)

アコースティック・ギターを持ったポートレイトのジャケットのせいかも知れないが、巧みなフィンガー・ピッキングの印象が強かった「B'lieve I'm Goin Down...」に較べて、M1の牧歌的なピアノとホーンやM2のチープなドラム・マシンのビート、M3のリヴァース…

Sleaford Mods / Spare Ribs

一言で言うならばローファイなエレクトロ・パンク。辛うじてメロディックな要素は無くもないし、もっと弛緩もしているが、そのチープなビートに何となくSuicideを連想してしまう。或いは腹が弛んだDeath Grips、然もなくば町工場のCabaret Voltaireとか何と…

Eiko Ishibashi / Drive My Car Original Soundtrack

一聴して先ずいつも通りの石橋英子に安心感を覚える。大きくは2つのコンポジションに異なるアレンジを施した計10曲で構成されているが、映画音楽に有りがちな、キャッチーなメイン・テーマを構成楽器を変えて繰り返すだけのものとは全く違い、それぞれが個…

Rosalía / Motomami

M1のレゲトンはスペイン語の響きも相俟って(「Kick I」に客演した縁のある)Arcaと共振するようだが、上音はほぼ低音オルガンを増幅させたようなシーケンスのみで構成されており、Arcaとは較べものにならないくらいにシンプル。寧ろナスティなローファイ感…

Jenny Hval / Classic Objects

今から10年近く前、Julia Holterが「Loud City Song」でアンビエント/ドローンを裏切り大きくソフィスティケイテッド・ポップに舵を切った時には鮮烈な驚きがあったものだったが、しかし単純なセルアウトの一言では片付けられないそのエクスペリメンタル・…