2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

PJ Harvey / I Inside The Old Year Dying

何処か悪戯っぽいというか、奔放さやイノセンスにほんの少し狂気が入り混じったような発声が内包する少女性に先ずは驚かされる。その印象は所謂円熟とは真逆で、若い頃はそれほど気に留める事が無かったが実に魅力的である。特段大きな綻びがある訳ではない…

Tim Hecker / No Highs

2000年代の後半にノンビートのエレクトロニック・ミュージックがかつて無くポップ・フィールドに躍進した際、それが単純にアンビエントとは呼ばれずに「/ドローン」という注釈が付されたのは、勿論原義通りの通奏低音を伴うという特徴を有していた事もあろ…

Sparks / The Girl Is Crying In Her Latte

冒頭を飾るチープな低周波の電子ノイズが古い映画に出てくる電気ショックを連想させ、早くもイメージ通りのナンセンスが全開。アルバムの所々で現れる、一般的には荘厳とか流麗といったオーセンシティを強化する方向に働く筈のオーケストレーションも、逆方…

Foo Fighters / But Here We Are

Foo Fighters史上で最も過剰なディストーションを伴うM10に唯一レクイエムめいた感傷を感じなくはないものの、気恥ずかしさを覚えるヒロイックなタイトルの割に全体としては然程仰々しさは無く、シンプルで意外にも落ち着いていて何処か清々しさすら感じさせ…

Sbtrkt / The Rat Road

昨年のSantigoldのアルバムで久々にその名を目にしたSbtrktの待望の復活作。 ポスト・ダブステップの中でも一際ポップで享楽的でありつつ、Ruskoなんかのブロステップとは違って品のあるダンス・トラックを得意としていただけに、嘗てのコラボレーターである…

Jessie Ware / That! Feels Good!

Beyoncé「Renaissance」がJessie Wareの競争心に火を点けた、なんて事は先ず無いだろうけれども、自分こそが現代のDonna Summerだと言わんばかりに前作にも増して徹頭徹尾ディスコを前面に押し出した内容で、M2等には正に2023年の「Hot Stuff」といった感じ…

King Krule / Space Heavy

ファースト・アルバムが2013年のリリースである事を鑑みると、King Kruleこそ(未だ30歳にもなっていないというのに!)現在のUKに於けるポスト・パンク・リヴァイヴァルの先駆けであったように思えて仕方無い。Tom Waitsや特にサックスの存在感に於いてJame…