2009-01-01から1年間の記事一覧

Why? / Eskimo Snow

90'S後半〜00'S初頭のアメリカのアンダーグラウンドのヒップホップシーンは現在とは較べ物にならない程に面白かった。 小さいながらも信頼に足るインディレーベルが林立し、入れ替わり立ち替わりに新しい才能が出現した。 そして個人的にその活況を最も象徴…

Luke Vibert / We Hear You

1曲目でいきなりダブステップをやっているのには驚いた。 ダブステップとは言ってもそのスタイルに特有のダークな音像は微塵も聴こえず、Luke Vibert特有のオプティミスティックでレイドバックしたムードに彩られたテック・ダブステップだ。最近のレーベルカ…

Shackleton / Three EPs

少し前に読んだインタビューで、Hudson Mohawkeはダブステップについて「どれも似通っていて退屈だ」というような発言をしていた。 言いたい事は良く分かるのだが、振り返ってみると、そもそも特定のシーンが熱気を保っている間こそ多くのエピゴーネンによっ…

Dam-Funk / Toeachizown

Stones Throwの最近の攻勢振りが凄い。 元々、Peanut Butter WolfとMadlibのプライベートレーベル的な印象の強いレーベルだったが、このところSavath & SavalasやOmar Rodriguez Lopezなど、ヒップホップの枠を超えた越境的リリースが続いている。 そしてこ…

Air / Love2

「次はもういいや」と思いつつ、新譜が出るとついつい購入してしまい、聴くとそれなりに満足してしまう、そんなミュージシャンが結構居る。 Airも自分にとってそのようなミュージシャンで、本作もその余りにダサいジャケとタイトルに怯みつつも、結局それな…

The Flaming Lips / Embryonic

ここでは、Flaming Lipsのその短くはないキャリアの中でも 何度か目の大きなシフトチェンジが為されている。 そしてその結果完成したこの作品は、個人的に彼らの最高傑作だと思う。 「The Soft Bulletin」以来続いてきたユーフォリアや荘厳さは後退し 代わり…

Shafiq Husayn / Shafiq En' A-Free-Ka

もう結構な時間このアルバムの凄さについて考えて過ごしているのだが、未だ納得のいく着地点が見付からないままでいる。 Sa-Raの新作も非常に素晴らしかったが、この作品はその洗練はそのままに、より混沌としアヴァンギャルドでありながら、メロウでファン…

The Last Electro-Acoustic Space Jazz & Percussion Ensemble / Fall Suite

MadlibによるYesterdays New Quintetの変名プロジェクトによる新作は、Jim O'Rourkeの新作と同様に、1曲40分に渡る長大なジャズ作品だ。 とは言えここでは曲の長さには大した意味は無く、複数の小品を1曲に繋げてみたといった軽い感じ。 音の方は実にオーセ…

Jim O'Rourke / The Visitor

「3分半のポップソング」とはよく耳にする表現だが、大体2分前後〜長くても7・8分という標準的なポップミュージックにおける1曲の長さとは、一体どのようにして規定されてきたのだろうか。 恐らく商業的・機能的な要請によって規定されたものなのだろうと思…

Electraglide Presents Warp20 Tokyo

Hudson Mohawke 基本アルバム「Butter」収録曲の再現だったが、ライブで聴くと同じ曲でも結構違う印象だった。 CDだと音のバランスやエディットのタイミングに何とも聞き流せない良い意味でフリークアウトした感覚が耳に残ったのだけれど、ライブではとにか…

Hudson Mohawke / Butter

未だJ Dillaの影を背負うFlying Lotusと対置し、このHudson Mohaukeを評して「よりオリジナルだ」というニュアンスの記事を何処かで読んだのだけれども、このアルバムを一聴した直後の自分の感想というと「何だかPrefuse73の影が散らつく」というものだった。…

Yo La Tengo / Popular Songs

今年出たSonic Youthの新作はインディに戻って最初の作品なのにも関わらず「Goo」や「Dirty」のようなストレートさで、一昨年のR.E.M.などは初期の作品よりもよっぽど若々しくロックなアルバムを作り、グランジ前後に活躍したアメリカの所謂オルタナ・アーテ…

Tricia Rose / Black Noise

94年に刊行されたアメリカ社会学における ヒップホップ研究のパイオニア的著作である トリシア・ローズの「ブラック・ノイズ」を読んだ。 面白いと言えば面白いのだがこの違和感は何だろうか。 単に好きなアーティストの話が少ないというだけの話ではない気…