2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
元々トラックを重視する傾向がある自分にとっては、ラップ自体のスキルやオリジナリティは副次的な評価軸でしかない事が多いのだが、流石にこの尋常でないラップには瞠目せざるを得ない。その凄味はKendrick Lamarを遙かに凌駕するように思える程で、お陰で…
失恋がテーマという事前情報から、Beck「Sea Change」みたいなアコースティック・アルバムになっていたらどうしようかと恐々としながら聴いたが、極めてドライで冷んやりとした肌理に特徴があった「Fin」より多少ウェットになった嫌いは無くはないけれど、予…
Vince Staplesとの仕事から、オーセンティックなサンプリング・ワークとトラップ・ビートとを良い塩梅に組み合わせた手法の印象があったが、初のソロ・アルバムとなる本作ではもっと幅広い音楽性を披露している。各トラックをシームレスに繋いだ構成はミック…
埃を被ったソウルにオルガンを多用したサイケデリック・ロックやエスニックな要素を調合したレトロな音像が如何にもDanger Mouseらしい。ロック系の仕事が多い人だけに、相変わらず良くも悪くも没個性なBlack Thoughtのラップと併せて聴く事で、ヒップホップ…
ビートは基本的にシンプルなトラップだが、シンセ・アンビエンスは希薄で余計なメランコリーは無い。特段スキルフルとまでは思わないが歯切れの良いラップはマンブル/シンギング・ラップとは対照的で、総じてエモラップ特有の鬱陶しさが無い分好感は持てる…
The Knack「My Sharona」のベース・ラインを借用したと思しきM4やMichael Jackson風のM8は、ゲート・リヴァーブ的なドラムの音響と言い、標榜している事が大して違うとは思えないのにThe Weekndに対してはどうしても拭えない胡散臭さを微塵も感じさせず、只…
デモテープのように簡素だった「Apollo XXI」よりも多少音色が豊かで賑やかになり、引き出しが増えたような印象がある。従来のギターに加えてピアノが中心的な役割を担う場面も増えており、ボサノヴァ調のM3等ではホーン・セクションも鮮やかな存在感を放っ…