2013-01-01から1年間の記事一覧

Julia Holter / Ekstasis

考えてみればアンビエントがここまでポップ・ミュージックに浸透した時代は過去に無かったのでないか。 Brian EnoもClusterもTangerine Dreamも遥か過去で、 The OrbにもThe KLFにも間に合わず、Aphex Twin「Selected Ambient Works Volume II」や Fennesz「…

Darkstar / News From Nowhere

無意識の内に何とかベース・ミュージックの名残を探そうとするせいか、ついつい低音に耳は向くが、他のシンセポップと比較すれば確かに多少ボトムに重さは感じられるものの、多彩な表情を見せるシンセ音の豊潤さと較べれば、取り立てて強調されていると言う…

FaltyDL / Hardcourage

ヴァラエティに富んだビートと曲調で良い意味でとっ散らかった印象のあった前作と較べてイーブンキックが多く、音色にも統一感がある。 執拗なドラム・ブレイクがドリルンベース以前のμ-ZiqみたいなM1やM8のノイズ混じりのブレイクなんかに破天荒な面影が顔…

My Bloody Valentine / MBV

M1の津波の如く押し寄せるディストーションに飲み込まれる瞬間に訪れる猛烈な既視感。 紛れも無くこれは20余年振りのMy Bloody Valentineだ。 続く牧歌的なM2はまるでDeerhunterの青写真を聴いているようで、全く古びないそのイディオムに、現在進行形のポッ…

Mala / Mala In Cuba

2000年代後半からのエレクトロニック・ミュージックに於ける最大のトピックであったダブステップが、初めてその減速を感じさせた2012年に、一際存在感を放ったのがMalaとShackletonであったという事実には実に興味深いものがある。 オリジナル・ダブステップ…

Tim Hecker Daniel Lopatin / Instrumental Tourist

最近、Tim Heckerが 2001年のTigerbeat6のレーベル・コンピに参加していたJetoneであった事を知り 現在のノイズ/ドローンとエレクトロニカの連続性を改めて思い知る気がした。 Megoの再興はその最たる例で 特にOneohtrix Point Never=Daniel Lopatinに顕著…

Emeralds / Just To Feel Anything

エレクトロニック・ビートの大胆な導入からはOneohtrix Point Neverが「Replica」に於いて細かくカットアップされたサンプリング・ループを用いて、新世代によるアンビエント・ミュージックというイメージから逸脱しようとしてみせたのと同様の企図を汲み取…

The Gaslamp Killer / Breakthrough

生ドラムによるブレイクビーツやサンプルの存在感はLAのビート・シーンの中でも取り分けオーセンティックなヒップホップとの連続性を感じさせる。 最近には珍しくネタの強度と極端なダブ・ミキシングで勝負をするこのインスト・ヒップホップが、Flying Lotus…

Zazen Boys / すとーりーず

M1では「法衣を纏ったLed Zeppelin」なるコンセプトと、近年の向井秀徳のシンセサイザーに対するフェティシズムとが融合を見せている。 ニューウェイヴィなM3はKimonosみたいだし、M4のギターが奏でるアルペジオのセンチメンタルな旋律や直線的なベースライ…

Flying Lotus / Until The Quiet Comes

全編を通じてタイトル通りのレイドバックしたムードが横溢していて、「Cosmogramma」の圧倒的な混沌や熱狂はここには無い。 四方八方に飛散する粒子のような目の粗い音像や、ズレを内包した有機的にシンコペートするリズムに音の位相の最前列で耳を刺激する…

The XX / Coexist

逸早くベース・ミュージックを採り入れたロック・バンドとして評価を得たThe XXは、本作でシンプルなイーヴン・キックのビートを採用してハウスにアプローチする事で、早くもそのパブリック・イメージからの緩やかな逸脱を標榜しているように思える。メロウ…

Sun Araw / The Inner Treaty

ダブにアンビエントにサイケデリック・ロック等々の断片が 取り留めなくまた支離滅裂に垂れ流される様からは Hype Willamsに通じる怠惰さが感じ取れ やはりこれこそが時代のモードなのだと確信する。 ギター、ドラムにベースに電子オルガンやシンセサイザー …

KTL / KTL V

Mike Paradinasが居なければ現在ほどダブステップを聴いてはいなかっただろうというのと全く同じように、Peter Rehberg及びEditions Megoの存在無くしてはEmeraldsやOneohtrix Poing Neverさえまともに聴いていたかは怪しい。 まさかエレクトロニカの終焉か…

Shackleton / Music For The Quiet Hour / The Drawbar Organ EPs

ミニマルとの親和性云々の一方で、目まぐるしく展開するShackletonの音楽にトラックという単位の意味が余り見出せていなかったが故に、前半のShackleton版「Long Season」といった5部構成には至極しっくりくるものがあった。 まるでディジュリドゥのような揺…

Death Grips / The Money Store

故意かと疑いたくなるほどの稚拙なラップはDose Oneと較べようも無いが、耳障りな音像やヴァース/コーラスの非連続性等にはAnticonと言うか、具体的にはThemselvesを彷彿とさせるところもある。ウォブリーな低音がLornなんかの最近のインスト・ヒップホップ…

Dirty Projectors / Swing Lo Magellan

Bjorkとのコラボレーションを鑑みればやはりと言うべきかAmber CoffmanとAngel Deradoorianの声はこれまでにも増してより楽器的に使用されている(何せ女性陣がリード・ヴォーカルを取る曲はたったの1曲しかない)。 「Bitte Orca」で聴かれたような大仰なギ…

Ariel Pink's Haunted Graffiti / Mature Themes

M1の高らかに鳴り響くオルガンの音色は、まるでThe Doorsみたいで、前作の80's臭さに対して本作の前半部分には60'sを思わせるところがある。ローファイこの上無かった音像は、拍子抜けするほどクリアになり、悪ふざけとしか思えなかったコーラスワークは、M3…