2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Luminous Orange / Songs Of Innocence

最近室内楽的要素を感じさせる作品に触れる機会が多くなった気がする。 昨年のDirty ProjectorsやTyondai Braxtonのアルバムから始まり、最近のThe Rootsの新作にもその様な雰囲気があって、「チェンバー」という言葉がポップ・ミュージックにおけるある種の…

Fuji Rock Festival '10 7/31 Sat

Dirty Projectors 本当ならば今年のフジロックのハイライトとなるべきステージだったが 朝から注入し過ぎたアルコールのせいで殆ど何も覚えていない…。 僅かな記憶を頼りに言葉を捻り出してみても 演奏能力や歌唱力の高さといった至極真っ当な印象しか思い浮…

The Roots / How I Got Over

The Rootsの通算9作目。 気付けば?uestloveが敬愛するDe La SoulやGang Starrを凌ぐリリースを重ねてきた訳だ。 特にヒップホップおいてグループはとにかく長続きしない。 辛うじて存続出来たとしても、コンスタントに作品を作り続けられるグループは実に稀…

LCD Soundsystem / This Is Happening

ディスコパンクという呼称には以前から違和感があって、LCD Soundsystemの新作を聴いてその感覚は助長された。ディスコは解るとしてもパンクはどちらかと言えば隙間を嫌う音楽で、LCD Soundsystemの隙間だらけのサウンドとは真逆だと言って良い。 ファンク若…

Fuji Rock Festival '10 7/30 Fri

Rusko 2008年のフジロック最終日、タイムテーブルにPinchの名前を見付け 興奮気味にクリスタルパレスに向かったところ 「大阪から来ましたDJピンチでーす」と陽気な日本人が現れて スカだかレゲエだかを回し始めた、という苦い記憶がある。 (その前がSheena …

To Rococo Rot / Speculation

かつてこのグループがMouse On Marsと共に クラウトロック・リバイバルとして括られた際には 今一つその意図が理解出来なかったが この新作は正にドイツのポップ・ミュージックの 素晴らしい伝統に即した音楽だという印象を受けた。 以前のイメージに近いア…

Unkle / Where Did The Night Fall

最近ある雑誌でJames Lavelleの近影を見て些か愕然とした。 かつてのスタイリッシュな英国産Bボーイの面影は全く無く、まるでMorrisseyかMark Stewartと見紛うような中年がそこには居た。 (どうしてあの国の男性は年を取るとオールバックにジャケットを着込…

野田 努, 三田 格, 松村正人, 磯部 涼, 二木 信 / ゼロ年代の音楽 壊れた十年 The Music Of The Decade

音楽をディケイドで区切って捉える事に大した意味は無い。 けれども音楽に過剰な価値を見出す人間にとって それが抗いようの無い魅力的な事であるのも良く解る。 要するに我々は10年だろうが1年だろうが100年だろうが 事ある毎に音楽の話がしたいのだ…。 勿…

Autechre / Move Of Ten

ほんの数ヶ月前にリリースされた前作が、少ない音数で作られたアンビエンスとメロディについてのアルバムだとすると、本作は同じ方法論で作られたダンスとリズムについての作品だ。とは言え過剰に複雑なリズムの冒険が成されている訳ではなく、逆に驚くほど…

Rusko / O.M.G.!

どんなトレンドにも廉価版やセルアウトは付き物だが、Ruskoの音楽はまさしくダブステップの廉価版で、言うならばハイプである。このサウンドがダブステップから受け継いだ点は、過剰な重低音と遅いBPMだけで、ここにはディストピアへの憧憬も無ければダーク…

MGMT / Congratulations

90'sのアメリカン・オルタナティブにサイケデリアの要素はほぼ皆無だった。 だから尚更にFlaming Lipsが1999年に発表した「The Soft Bulletin」及び「Race For The Prize」というアンセムの異物感とインパクトは凄まじく、それは少し性質の悪いジョークかと…

Hole / Nobody's Daughter

これはある種のタブーなのかも知れないが、「Live Through This」というアルバムからはどうしてもKurt Cobainの気配を感じずには居られない。 全ての曲がKurt Cobainの手によるものとまでは思わないが、かなり強力な影響下で曲作りが為されたであろう事は想…

Matthew Herbert / One One

三田格が「何の変哲も無いポップス」と評していたので、それはそれで面白いのではと期待して聴いたものの、この引っ掛からなさときたらまぁ只事でない。生演奏による内省的なポップソングに、周到に施された電子音や物音は、エレクトロニカの時代に暗躍した…

Erykah Badu / New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh

前作でのファイティング・ポーズが嘘のように今度のErykah Baduは穏やかでスウィートだ。 ?uestloveが久々にドラムを叩く「Window Seat」のイメージが強いのだろう(逮捕というトピックを提供したビデオの影響もあるか)、過去の作風への揺り戻しを指摘する…