2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

FKA Twigs / Caprisongs

感情を持たないミスティックな人形のようだったFKA Twigsが喜怒哀楽を獲得して人間になった、そんな妄想を掻き立てるミックス・テープ。そしてそれは確かにArcaの足取と重なるものでもある。正確には無かったのはメランコリア以外のエモーションと言うべきだ…

Mitski / Laurel Hell

The Weeknd「Dawn FM」に引き続き、2022年になっても相変わらず80年代は終わる気配を見せない。(勿論90年代だって同じだが。)M6の直線的なベース・ラインとオールドスクールなシンセはA-haなんかを彷彿とさせるし、M7はまるきりNew OrderでM11もディスコテ…

Earl Sweatshirt / Sick!

やる気こそ感じられないがしっかりとリズムに対するフロウがあり、「Some Rap Songs」に較べると余程ちゃんとラップしていると言える。トラックにはやはりこれと言ったフックは無く相変わらずデプレッシヴで空疎ではあるが、前作にあったような極端にアブス…

Madlib / Sound Ancestors

Madlibの作品の中でも確実に指折りのキャッチーさで、フリーキーさは減退し洗練が際立った印象がある。その洗練は間違い無くKieran Hebdenにより齎されたもので、特にM4やM6(Young Marble Giants!)といった、これまでのMadlibには余り無かったストレート…

Lost Girls / Menneskekollektivet

シンセ・アンビエント/ドローンとリズム・マシンによるドラム・ビートにJenny Hvalのスポークン・ワード/歌。時折装飾もあるがほぼ3つの要素のみの単純な構成で、更には要素のどれを取っても単体では然したる新奇性も認められないにも拘らず、それらが複…

Burial / Antidawn

ビートレスが賛否両論を呼び起こしているようだが、逆に言えば従来のBurialとの違いはそこしか無い。サンプリングによる歌/声の断片のコラージュ、クラックル・ノイズとレクイエムのようなパイプ・オルガン、そしてそれらが作り上げる茫漠として霞んだノス…

Black Country, New Road / Ants From Up There

Squidが思いの外良かったので購入してみたが、吐き捨てるようなヴォーカル・スタイルを抜きにすればポスト・パンクの一言で済まされる音楽ではまるでない。ヴォーカルにしてもSquidに較べればしっかりとメロディを歌っており、投げやりなようでいて同時に熱…

Animal Collective / Time Skiffs

インディ・「ロック」かどうかはさて置き、これまでで最も器楽演奏がはっきりと認識出来る作品であるのは間違い無い。メンバーが口を揃えて語るように、特にPanda Bearが叩くフィジカルで素朴とさえ言って良いドラムの音色が作品のトーンを決める上での肝に…

The Weeknd / Dawn FM

俄かには信じ難いが、OPN「Magic Oneohtrix Point Never」と本作には殆ど兄弟のような近親性を感じる。勿論スタイルも性格も大分違うが、FMラジオというモチーフや、全編に渡り一貫した明け透けな80‘s趣味に於いて、同じ腹から産まれた作品であるのは確かな…