2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

Phew / Five Finger Discount

Michael Stipeは過去に自らの声について、「誰をも感傷的にさせる事が出来る」が故に「安易な歌を歌ってはならない」のだというような内容の事を語ったらしい。 何とも彼らしい若干ヒロイックな発言だが、それは同時に声という楽器の持つ喚起力や感情への訴…

Squarepusher / Shobaleader One: D'demonstrator

こういう作品に触れるとDavid Lynchの「The Straight Story」という映画を思い出す。 鬼才による毒気の無い物語や音楽には、いつも得も言われぬ違和感を覚え、逆説的な悪意の表現ではないかと邪推する事で何とか自分を安心させたい気分に駆られる。メロウなR…

Stacy Gueraseva / Def Jam, Inc.

ポップ・ミュージックに関する書物の中でも、伝記物、取分け特定のアーティストやバンドについての自伝的な内容のものよりも、あるシーンやレーベルを取り扱ったものに面白さを感じる事が多い。 主題に関わった人物が多岐に渡る程、結果として立ち現れる物語…

Edit Conference / The Edit - Edit Music Disc Guide

音楽における「エディット」という言葉を自分は殆どカットアップと同義語のように使っていて、背景にあるテープ・エディットの存在や、それが80年代のある時期にディスコやヒップホップ・カルチャーに残した濃密な痕跡についてはこれまで全く知る由も無かっ…

Eskmo / Eskmo

有りがちなウォンキー・サウンドではあるが、単なるHudson Mohawkeのエピゴーネンとして片付けてしまうのは気が引けるくらいに良く出来た作品だ。まるでエレクトロニカのように精緻なプロダクションや立体的なミキシングは確かに非凡なスキルとセンスを感じ…

Avey Tare / Down There

Animal Collectiveの中では逸早くソロワークで名を馳せたPanda Bearの存在感が突出している感があるが、昨年のフジロックで観たライヴでは負けず劣らずAvey Tareの役割の大きさが印象に残った。Avey Tare初めてのソロ作品は改めてバンドにおいて彼の果たす仕…

Ariel Pink's Haunted Graffiti / Before Today

久々に実にアメリカらしい音楽を聴いた感じがする。 こういった悪ふざけ染みたポップ・ミュージックは、何故かイギリスからはなかなか出て来ない。 音楽性は全く別々だが、Butthole SurfersやPixies、Pavementのサウンドや、Harmony Korineの映画、そして本…

Buffalo Daughter / The Weapons Of Math Destruction

冒頭のTB-303のアシッドな響きがBuffalo Daughterの軽やかな原点回帰を告げている。 その原点とはシュガー吉永の「『Acid Trax』に影響を受けたロック・バンド」という言葉に集約されているだろう。 けれども如何にTB-303やヴォコーダーが多用されていようと…