2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Matthew Herbert / One Pig

予想に反してトリロジーの最終作はシリーズ中、延いてはMatthew Herbertのディスコグラフィに於いても、最も実験性が高く、また最もエモーショナルな作品となった。世に溢れる多種多様な物音や具象音をポップ/ダンス・ミュージックに回収する試みはMatthew …

Björk / Biophilia

冒頭のハープの音色は2001年の「Vespertine」を彷彿とさせるが、その後に挿入される地鳴りのような低く重たいベースが本作が単に過去の焼き直しでない事を宣言している。M3に於ける唐突なドラムンベース、と言うよりブレイクコアに象徴されるように、本作の…

Spank Rock / Everything Is Boring And Everyone Is A F---ing Liar

00年代の中頃に、Spank Rockが登場したりBeastie Boys「To The 5 Boroughs」やDJ Shadow「The Outsider」といった作品がリリースされた頃には、エレクトロニックなサウンドが愈々アメリカン・ヒップホップを席巻するような機運も感じられたものだったが、そ…

Plaid / Scintilli

もしも今のWarpがかつての「Artificial Intelligence」のような戦略的なコンピレーションを編むとしたら、その主役はFlying LotusやHudson MohawkeやRustieのようなヒップホップのミュータントか、或いはGrizzly BearやBattlesみたいなバンドになるのかも知…

Hessle Audio / 116 & Rising

近い将来2011年のポスト・ダブステップを思い出す時に真っ先に想起するのは、「James Blake」とテクノ寄りの2つのレーベルが発表したコンピレーション ― Hotflushの「Back And 4th」と本作 ― になるだろう。 尤も当事者の間ではどうも「ポスト・ダブステップ…

Atlas Sound / Parallax

先ずBradford Coxのヴォーカルの飛躍振りが益々凄い事になっている。 相変わらず怠惰な事この上無いが、妙に艶っぽく色気さえ漂う歌声は、丁度グラム・ロックをパロディにしたジャケットと呼応しているようでもある。過剰な残響処理によって歌と演奏が不可分…

Mark McGuire / Get Lost

テクノ/ハウス・ミュージックの台頭以降、特定の楽器とミュージシャンの作家性が結び付けられるケースは大幅に減ったようにも思えるが、Mark McGuireというギタリストには久々に現れたギターヒーローというような印象がある。ギターとエレクトロニクスが相…