Flying Lotus Presents Brainfeeder



Gaslamp Killerのドープネスにも
Samiyamのフリークネスにもいとも簡単に興奮させられ
改めて現在のLAビートシーンの面白さに感服したが
やはりFlying Lotusサウンドが醸し出すサイケデリアは特別だった。


Gaslamp Killerの後を受けた、その最初の一音で
フロアの空気は煙たい膜に覆われたかのように一変した。
抑制されたビートがたゆたうように続く事数分間
膜を切り裂くように鳴り響いた
「Computer Face // Pure Being」のファットなビートには
まるで濃霧の中に光明を見たかのような快感があった。


その後もビートが弱まる事は無かったが
経験的にもサイケデリアは特に恍惚感を、時に睡魔を連れてくる。
果たして次に自分を覚醒させたのは
2562とRadiohead「Idioteque」の秀逸なマッシュアップだった。


この日の客層を観察していて
一昨年のLow End Theoryとは随分違った印象を受けた。
如何にもなBボーイはむしろ少なく
10年前ならテクノで踊っていたであろうパーティー好きから
(完璧に偏見だが)ロック雑誌を毎月買ってそうな輩まで
実に雑多な感じがした。


その多様性はFlying Lotusという存在が
ジャンルを超えて時代の寵児となり
LA発の新しいビートがポップミュージックのモードの
ど真ん中に躍り出た事を証明するようだった。


だから尚更、その日で一番の大きい歓声が
Thom Yorkeの歌声に向けられた事には
何か腑に落ちない思いも残ったのだった…。