Brittany Howard / What Now

ソウル/ファンクやブルーズやフォークやエレクトロニック・ミュージックの要素を混合したサウンドには、Meshell Ndegeocello「The Omnichord Real Book」に非常に近い質感がある。
本作が満場一致で高い評価を獲得しているのを見ると、「The Omnichord Real Book」が大した注目を浴びなかったのが些かアンフェアに感じられる。

ジャズ・アンビエント的な要素も強かった「The Omnichord Real Book」に対して、曲間をインタールード的にシンギング・ボウルの音色が繋いでいるのを除くと、各々のトラック自体にアンビエント色は希薄で、その代わりに4/4のビートが殆どハウスのようなM8を始めとして、ダンス・ミュージック色の強いトラックが存在感を放っている。

M3やM7にM11といった楽曲ではブレイク・ビーツ風のビートがフックになっており、加えて乾いたギターの音色と拡声器のようなローファイなマイクロフォンの音響が、BeckがプロデュースしたJamie Lidellの2010年作「Compass」にも通じるブルージーでアーシーであると同時にエレクトリックな質感を醸し出している。

それらの楽曲を支えるマシニックなドラミングは、流石に人力だけによるものとは思えないが、ドラマーであるNate Smithが貢献が大きいのは間違いない。
熟練のジャズ・ドラマーの力を借りて、生音と電子音とが融合した強度のあるビートを創り出しているという点で、Kwake BassやYussef Dayesが参加したSampha「Lahai」にも通じると言えるかも知れない。