John Legend & The Roots / Wake Up!

The Rootsの演奏による60〜70年代のソウル・クラシック(Marvin GayePete RockがサンプリングしたM4くらいしか知らないが)なんて到底嫌いになれず筈も無い、筈も無いのだが矢鱈とヴィブラートを効かせるJohn Legendの歌声は暑苦しくて仕方無い。
とは言えThe Rootsによる演奏はまるで黄金期のStaxMotownの雇われバンドのように安定感と貫録に富んでいて、何より?uestloveのドラミングの多彩なヴァリエーションが聴けるのが嬉しい。

アレンジメントの面でもミックスの面でも破綻が無い代わりに冒険も無いオーセンティックなプロダクションは、この企画の背景や目的を鑑みれば無理からぬ事のようにも思えるが、それ故に在りし日のブラックパワーの記憶も参画者としての資格も持たない者にとっては、今一つ引っ掛かりに欠け何処か疎外感すら覚えてしまう。
至極ナイーヴな言い方をすれば「自分に向けられた音楽ではない」感覚と言うか。
(尤も今更そんな音楽に出くわす事など皆無に等しいが。)

そんな疎外感を幾分和らげてくれるのは、殆ど目立たないBlack ThoughtやCommonやC.L. Smooth(!)によるラップで、このアートフォームへの愛着を再認識すると共に、その停滞に歯止めが掛る事を祈るばかり。