Godspeed You! Black Emperor / G_d's Pee At State's End!

f:id:mr870k:20210605223556j:plain

当時は兎角暗黒だとかいった接頭辞を冠されがちだったと記憶しているが、M4終盤の美しくセンチメンタルで、寧ろ後には希望しか残らないような旋律には、まるでそのような形容は似つかわしくない。
(勿論全くの偶然だろうが、Oneohtrix Point Never「Good Time」のエンディングとムードが良く似ている。)

Mogwaiにも言える事だが、こんなにポップである意味ロマンティックで、そして普通のロックだとは思っていなかった。
尤もGY!BEに最も影響力のあった2000年前後の時期に聴いていたとしたら、同じように感じていたかどうかは怪しい。
20年の間にロックという言葉が指し示すスコープは随分と拡がったものだと思わされる。

浮かんでくる感想は総じてMogwaiと被るが、アーティフィシャルでクリーンな感じのあった「As The Love Continues」と較べると、本作のサウンドはもっと目が粗くローファイで、且つノイジーでダイナミックだ。
完全にコントロールされたMogwaiのそれとは違い、ギターのフィードバック・ノイズは奔放で、よりパンキッシュでインディ・マナーな印象を受ける。

60年代の電子音響のようなオープニングに続いて、バリトン・サックスのようなエレクトリック・ギターが高らかにファンファーレを鳴らしたのも束の間、オルガン・ドローンから徐々にビルドアップしていき、シンフォニックで勇壮な中盤でクライマックスに達する長尺のM1はジャム・バンド的で、後半に於ける叙情的なヴァイオリンの音色が齎すアーシーなムードはJaga Jazzistのようでもある。
ヴァイオリンの音色は全編に渡って重要な役割を果たしており、M3終盤のダイナミズムと高揚感はまるRovoみたいだ。