Eskmo / Eskmo

有りがちなウォンキー・サウンドではあるが、単なるHudson Mohawkeエピゴーネンとして片付けてしまうのは気が引けるくらいに良く出来た作品だ。

まるでエレクトロニカのように精緻なプロダクションや立体的なミキシングは確かに非凡なスキルとセンスを感じさせる。
特に音の加工に関してはHudson MohawkeFlying Lotusを凌ぐ程の技術や集中力を感じさせ、このサウンドにおいては電子音や器楽音や具象音といった音の垣根は最早無効化されている感すらある。
WarpとPlanet-MuとNinja Tuneが同時に目を付けたのも頷ける話ではある。

過去にはUKガラージダブステップの作品も残しているというが、ある種無節操なそのスタイルの変遷はこのビートメイカーの器用さを象徴する話だろうと思う。
ただ遺憾無く発揮されたその器用さが故に本作からは今一つ作家性と言うか、サウンドの人格のようなものを汲み取る事が出来ず、こういうのを器用貧乏と呼ぶのかなどとも思ったりする。

まぁスキルやセンスだけで完結しないのが音楽の面白さではあるし、大体ロマンに欠ける話ではないか…。