Avey Tare / Down There

Animal Collectiveの中では逸早くソロワークで名を馳せたPanda Bearの存在感が突出している感があるが、昨年のフジロックで観たライヴでは負けず劣らずAvey Tareの役割の大きさが印象に残った。

Avey Tare初めてのソロ作品は改めてバンドにおいて彼の果たす仕事の重要性を認識させる内容で、殆ど「My Girls」や「Summertime Clothes」ようなアンセムの無いAnimal Collectiveの新作のようだ(その点こそがPanda Bearの存在の大きさを物語ってもいるのだが)。

それにしてもAnimal Collectiveのサイケデリアへの拘泥には徹底したものがある。
普通は自分達のエピゴーネンがこれだけ蔓延すると距離を取りたくなる心情が働くものだと思うが、本作のサウンドはより一層酩酊を深めていくようで、彼等にとってのサイケデリアとは単なる方法論以上に余程重要な意味を持つものなのだろうと思う。

本作におけるエレクトロニクスやら環境音やら、幾重にもレイヤーされた声やらその他諸々が、一緒くたに放り込まれ、混合されて、纏めてフィルタリングされたような音像は、ボトムの軽さも含めて殆どの一部のエレクトロニカ(例えばBoards Of Canada)のようだ。

その徹底した混濁具合にサウンドを構成要素に分解して聴く事が酷く無意味で面倒な事のように思えてきて、覚醒させるユーフォリアも皆無で、唯々眠い…。