Electronic Tribe - Yebisu New Year's Party 2011


Daedelus

Daedelusの存在はエレクトロニカの時代におけるグリッチ・ホップと、00年代後半に顕在化したアメリカ西海岸の先鋭的なヒップホップ・シーンとを繋ぐ殆ど唯一のリンクであるが、90年代後半のアンダーグラウンド・ヒップホップから「ドープ」という価値観を引き摺るように見えるそのシーンでは、Daedelus諧謔的なユーモア(中世貴族風の衣装を含め)は、些か浮いているようにも思える。
Flying Lotusはともかく、Gaslamp KillerやSamiyamのプレイにも勿論ユーモアはあるが、Daedelusのそれとは少なからず毛色が違うと言うか。
その差異はDaedelusの音楽性の背景にあるレイヴ・カルチャーからの影響によるところが大きいのだろうと、この日のライヴ/DJセットを観て改めて感じた。
アメリカというかつてのレイヴ・カルチャー不毛の地で、ヒップホップとシカゴ・ハウスを同時に聴きながら育まれた感性は、淀み無くビートを繋ぐ事よりも、パッドの連打で作り出されるフィジカルで忙しないブレイクによって熱狂を生み出すそのDJスタイルに表象されていて、そのDaedelusEastern DevelopmentsやPlug Researchを経てNinja Tuneに腰を据えた事には、何か必然めいたものを感じずには居られない。


DJ Krush

長年DJ Krushの作る音楽を聴いて過ごしてきたにも関らず、不思議に思える程そのDJプレイを目にする機会に恵まれてこなかっただけに、この日はBPM100以下のビートで年を越す気満々で臨んだが、後に控えるDerrick Mayを意識しての事なのか、それともそれが最近のスタイルなのか、まさかのミニマル中心のセットリストで、時折スクラッチを挟んだりDJ Krushらしいハードボイルドな選曲ではあったものの、流石に拍子抜けしてしまった。
そういうしている間にビートは止んで、アブストラクトなアウトロに繋いでDerrick Mayが登場したと同時に呆気無く2011年は始まった。
目の前ではDaedelusと奥様のLaura Darlingtonの素敵なニューイヤー・キッス!