Sbtrkt / Sbtrkt

Dam-Funk以来のインパクト大な顔ジャケの割に、Sbtrktのサウンドは拍子抜けするくらい洗練されている(決してDam-Funkが洗練されていないという事ではない)が、元々はあの懐かしいウェスト・ロンドン/ブロークン・ビーツのシーンで活動していた人だと知って、妙に納得する感じがあった。

メランコリックなR&Bヴォーカルをフィーチャーした2ステップ・ガラージ(とUKファンキー少々)という基本スタイルには、James Blakeと通じる部分も無くはないが、この音楽に例えばあの虚無の如き、強烈な静寂のような、外しの美学は存在せず、唯唯淀み無く流麗にビートは紡がれてゆく。
これはベッドルームで聴かれる為の音楽ではなく、享楽的な夜の為の音楽なのだ。

そういう意味でSbtrktは、James BlakeとSkreamの隙間を埋めるような存在であるようにも感じられる。
特異な部分も驚きも無く、然して言葉も出て来はしないが、そのサウンドには代わりに突出したポップネスがある。
「Magnetic Man」のクライマックスである「Fire」から「I Need Air」のラインに匹敵するくらいのM6〜M8の魅力には、幾ら虚勢を張ろうともとてもじゃないが抗えない、思わず小躍りしてしまう。

今年のレッドマーキーはさぞかし刹那的な熱狂に覆われた事だろう。
何とも羨ましい。