Freddie Gibbs & Madlib / Piñata

新進気鋭のギャングスタ・ラッパーのフロウは引き出しが豊富だが、Earl Sweatshirtなんかのラップと較べると何処か懐かしさを感じさせ微笑ましくもあり、ふと何故かBuddha Brandを思い浮かべたりもした。
Madlibから連想するMF DoomやGuilty Simpsonのドープネスとはまた違った、歯切れの良いハードコア・スタイルのラップとMadlibのトラックとの相性は意外にも悪くない。

比較的ストレートなラップへの配慮からかサイケデリックなSEやビートのズレ感等が齎すフリークネスはやや大人し目であるものの、若手ラッパーとの共演にもMadlibのトラックは何らブレる事は無い。

何故そこを切ったのかと訝しく思うほどの独創的なサンプリング・ループ、継目を敢えて強調するような歪な繋ぎ、クオンタイズ何処吹く風といった趣きのラフなミックス等、サンプリングでしか成し得ない特徴の数々にふとMatthewdavidの近作を思い出した。

Outkastのファンを公言するMatthewdavidにしろ、最初に買ったレコードがよりによってSnoop Doggy DogだというFlying Lotusにしろ、LAのビートメイカー達の口から直にMadlibの名前が飛び出す事は稀に思えるが、他にもGaslamp KillerやSamiyam等、その影響を感じさせるビートは多く、間違い無くLAビートに遺伝子に組み込まれているに違いない。