21 Savage & Metro Boomin / Savage Mode II

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シアトリカルなピアノやシンプルなシンセのループが然したる展開も無く鬱々と続くバック・トラックは単調で、大したヴァリエーションも無く聴きどころに乏しい。
21 Savageのマンブル・ラップはフロウも平坦で声色にも面白味は無く総じて退屈で、やはり本作の肝要はビートにあるのだろうと思う。

確かにちょっとしたサブベースの音階/リズムの変化やカウベル使いがアクセントになっている箇所はあるが、全体としては如何にも当世風の典型的なトラップで最早新鮮味はまるで無い。
Metro Boominこそトラップのビートを発展させてきた張本人なのだから、それも無理はないとは思うものの、熱狂する程の何かがあるとは言い難い。

やはりカウベルの音色が印象的で、Run-DMCやBoogie Down Productionsと聴き紛うようなミドル・スクール風のビートにチープなシンセ・ストリングスが被さるM11は唯一異質で、オールド・ヒップホップ・ファンには堪らないものがある。
Denzel Curry「Zuu」と言い、ミドル・スクール回帰がポスト・トラップに於ける一つの傾向として顕になってきた感を新たにさせる。

一方でMorgan Freemanのナレーションによるシアトリカルなイントロや、嘗てのCash Moneyのパロディめいた毳毳しいジャケットは、90年代ギャングスタ・ラップへのオマージュにも感じられる。
その意味ではGファンクのメロウネスとは明らかに異なる、如何にもDrakeな感じのM4のメロウ路線は寧ろ蛇足に思える。
デプレッションメランコリアと結び付くようになってからのトラップはやはりどうも苦手だ。