Weezer / OK Human

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オーケストレーションやストリングスのアレンジメントの優劣は門外漢過ぎて判断が付かないが、少なくとも「The Green Album」以降で最も自然と耳が曲を追い掛けていると言うか、率直に惹きつけられるものがあるのは確か。
例えばBrian Wilsonのような人が聴いたらどんな評価を下すのだろうか。
やはり陳腐だとこき下ろされるだけなのだろうか。
(そんな辛辣なイメージはまるで無いけれど。)

Rivers Cuomoが書くメロディ/ソングライティング自体が大きく変わったとは思えないので、やはり単調で大雑把で、有り体に言えばやっつけ仕事感が拭えないアレンジメントこそ一番のウィークポイントだったのだろう。
単に歌のメロディをなぞるのとは違う、表情豊かな菅弦楽器やピアノの音色が確かなフックになっていて飽きさせない。

Rivers Cuomo自身にこんなオーケストラのアレンジメント能力があるとは思えないので、所詮は他人の力頼みだとは思うが、もしも本作がいつも通りのロック・バンドのフォーマットで制作されていたとしたら、嘸かし詰まらない作品になっていたであろうという意味で、一切エレクトリック・ギターを入れなかったという点だけでも大英断に思える。

Weezerを聴くいうと行為は殆ど1stのあの有機的に絡み合うツイン・ギターのコンビネーションの幻影を追い求める(そして幻滅する) 事と等しいのだから尚更その思い切りは驚嘆ものだ。
加えてオペラ風のM5等のメロドラマティックな要素は、これまでで最も蝶々夫人を題材にした 「Pinkerton」との近似性も感じさせる。
(M10のイントロは即座に「Across The Sea」を連想させたりもする。)