Squid / Bright Green Field

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このタイミングでのUKのポスト・パンク・リヴァイヴァルというのには些か唐突な感もあって少しばかり懐疑的なところもあったが、良し悪しはさて置き猛烈にMark StewartやMark E. Smithを連想させるM2のヴォーカルは紛れも無くポスト・パンクとしか呼びようがない。
以降のヴォーカルは寧ろJames Murphyにも酷似しており、特にM3の冒頭はLCD Soundsystemにそっくりだ。

とは言え全体的にはエレクトロニックな要素は余り目立たないし、ダンス・パンク的な意匠も然程多くはなく、M11はTV On The Radioなんかに近い印象を受ける。
ついででM4冒頭のギター・アンサンブルは後期ゆらゆら帝国のようで、彼らが契約したのがDFAだったという事実が初めて腑に落ちる感があった。

一方でWireみたいなM5のコーラス部で聴こえるジェントルな歌声とその発声はLee Ranaldoを彷彿させるし、M11なんかには「Daydream Nation」〜「Goo」辺りの楽曲に近い疾走感もあり、そう思い始めると至る所でSonic Youthの影が散らつくような気もしてくる。
M3後半の女声の絶叫もKim Gordonか、そうでなければLydia Lunchみたいで、ノーウェイヴをUS版のポスト・パンクの一種だと考えれば自然にも思えてくる。

と言うかRadioheadから「Chocolate Synthesizer」期のBoredomsに雪崩れ込むような展開の楽曲もあり、UKオリジナル・ポスト・パンクもノーウェイヴ/ジャンクもオルタナティヴもゼロ年代のUSポスト・パンク・リヴァイヴァルも全て地続きだという当たり前の事に気付かされる。
2021年にこのようなサウンドがUKから登場するというのは意外ではあるが、好みなのは確か。