Rosalía / Motomami

M1のレゲトンスペイン語の響きも相俟って(「Kick I」に客演した縁のある)Arcaと共振するようだが、上音はほぼ低音オルガンを増幅させたようなシーケンスのみで構成されており、Arcaとは較べものにならないくらいにシンプル。
寧ろナスティなローファイ感にはLittle Simz「Offence」に通じるような魅力がある。

アルバム全体を通じて極端な音数の少なさが特徴的で、ヴォーカルとビートを抜きにすると多くは同時に2音くらいしか鳴っておらず、そのチープネスに於いてM.I.A.をも彷彿とさせる。
(気の抜けるようなM7等は特に。)
日本人だからM5とM6の珍妙さ(「Chicken Teriyaki」と「Hentai」!)にビットが立ってしまうのは置いておくとしても、如何にもフラメンコ調の歌唱と、時折インダストリアルで暴力的なビートとの対比は鮮烈でフリーキーですらある。

とは言えトラックはフラメンコというよりは寧ろレゲトンが主体で、フラメンコと聞いてすぐにイメージするスパニッシュ・ギター等の音色は微塵も存在しない。
但しM12のビートは電子ドラムで手拍子を模したようとも言えなくもなく、確かにフラメンコのイノベーターの側面はあるのだろう。

旧作は未聴だが、イメージしていたものと余りに違って幾分戸惑うところもあった。 
過剰に露出の多いアートワークと言い、そのイメージ・チェンジには戦略的な臭いが濃厚に漂っており、そのあざとさに少しばかり引かないでもないが、無視出来ない強度を備えた作品であるのは確か。