Girlpool / Forgiveness

ノイジーグリッチーなオープニングこそやや新鮮な感じもあるが、仄かにオートチューンが掛けられたヴォーカルが入ると一気に有りがちなドリーム・ポップ/シンセ・ポップに転落する。
後半に音圧強めのドラム・ビートとウォブル・ベースが入ると、一気にBeach HouseとSleigh Bellsを足して2で割った感じになる。

以降の曲にはSleigh Bellsのあざとさと表裏一体の突き抜けたポップネスも無いし、M10等のディストーテッドでシューゲイズ入った音像は廉価版のBeach Houseといった趣きだが、本家程の壮絶さは無くはっきり言って中庸で詰まらない。
フォーク・ロックからディストーションを効かせたオルタナティヴ・ロック風に展開するM3は特に凡庸。
M5にはAirを彷彿とさせるようなラウンジ感も無くはないが、だからと言ってどうという事もない。

例外的にドリーミーなM6だけは嫌いじゃない、と言うか何故だか解らないけど結構好き。
女性が歌うチージーで牧歌的なポップスに対して、相対的に中性的な男声ヴォーカル・メインの曲の方がより冗長で退屈で、何処かナルシスティックでゴスっぽいセンスがBilly Corganに通じるような気もする。

男声ヴォーカル曲程ギターの比重が高いような気がするし、ソング・ライティング上の役割分担でもあるのだろうか。
それとも無意識に、このポップ・ミュージックに於ける女性上位時代のバイアスがそう感じさせるだけか。
もう数年前の事にはなるけれど、グラミーの女性軽視なんて時代錯誤的で本当に下らないなと思う。