Belle And Sebastian / Late Developers

オープニングを飾る素のままのロウなトーンのエレクトリック・ギターの弾き語りには、Belle And Sebastianにしては意外なローファイ感が漂っている。
エレクトリック・ギターの存在感はM2でも続き、本質的には彼等がロック・バンドである事を再認識させられる。
M6のアップ・リフティングなギター・ポップ等は反射的にTeenage Fanclubを連想させ、グラスゴーの血の濃さを感じさせたりもする。

方や「ネバーエンディング・ストーリー」のテーマ曲(今回調べてGiorgio Moroder作曲/プロデュースだというのを初めて知った)ばりにファンタジックに幕を開けるM8の80’sシンセ・ポップ風は、ちょっと昔Belle And Sebastianからは想像が付かない程の振り切れ方で、M9のディスコ調は少しHot Chipを思わせたりもする。

ギター・ドリヴンなロックンロールと80’s風ポップスとはある意味で両極端だが、いずれにしてもアッパーには違いない。
一転してベルセバらしい地味なネオアコ風のM10を挟んで油断させておいてからのラストM11は極め付けで、最早「みんなのうた」並みのその朗らかさは居心地が悪い事この上無いが、歳を取って狭量なったり暗く沈み込まれるよりは余程清々しい。

セルフ・イメージに捕らわれない事の重要性を主張するような作品だという意味では、Beck「Colours」にも通じる大胆さと勇敢さがある。
前作のシティ・ポップ路線もそれなりに鮮烈だったし、50歳を超えた(にしてはその歌声の相変わらず青臭い事!)現在のStuart Murdochが(今更)自分の殻を打ち破るモードにあるのはほぼ間違い無いように思われる。
どうにもむず痒くはあるが、何か勇気付けられるような気分にもならないではない。