Sharon Van Etten / We've Been Going About This All Wrong

大半の曲はフォーク・ロックとドリーム・ポップの合いの子のようで、最近聴いた中だとGirlpoolとかに近い。
やさぐれたBlondieみたいなディスコ風のM9等の例外はあるものの、要するに総じて退屈極まりない。
ソフトウェア・シンセサイザーが嘗てのアコースティック・ギターと同じくらい身近な楽器になったのは確かだろうとは思うが、何時の間にかドリーム・ポップは現代のフォーク・ミュージックになったのだろうか。

前作にも「Ava Adore」みたいな曲があったが、M3はやっぱりSmashing Pumpkins、と言うかBilly CorganNew Order好きの部分を抽出培養して作られたクローン、といったイメージを喚起する。
M6等で聴こえる硬質のオーバードライヴ系のギターもその印象に拍車を掛ける。

ドリーム・ポップ系の音楽に於けるエレクトリック・ギターと言えば、My Bloody Valentine由来のディストーションが主流だと思うので、その音色のチョイスがユニークと言えばユニークなのかも知れない。
尤もあんまりそんなところを評価している人間が居るとも思えないが。

低めの声で情感を込めて歌い上げる歌唱スタイルは何処かThe Cranberriesなんかを思い起こさせたりもするが、Lana Del Rey程の凄味がある訳ではなく、取り立てて歌唱力を云々する程のストロング・ポイントがそこにあるとも思えない。
やっぱり欧米での評価の高さが何処から来るものなのか、今一つ判然としない。