The Hives / The Death Of Randy Fitzsimmons

2000年代初めのガレージ・ロック・リヴァイヴァルを聴かず嫌いしたせいで、The Strokes「Is This It」に出会うのが遅れたという個人的な反省もあって先入観を振り払って聴いてみたものの、やっぱり吃驚するくらい駄目。
エレクトロニカポスト・ロックの反動でロック・ミュージックならば何でも一括りに煽動したロック至上主義の罪はやはり大きい。

M1やM3の独創性ゼロのいなたいギター・リフはガレージ・ロックというよりもKissとかAC/DCみたいな単なるハード・ロックに近い。
一方でM6はまんまThe Clashだし、M2等は聴きようによってはDead Kennedysのようなハードコア・パンクに聴こえなくもない。
(心無しかヴォーカルもJello Biafraに近いような気がする。)

敢えてもう少し自分のレコードの棚から例を取ってみると、特にM9等にはQueens Of The Stone Ageに近い感覚が無くもないが、ストーナーというよりは単なるお調子者という感じで、コミック・バンドだと割り切ればそれほど目くじらを立てる事も無いのかも知れない。
まぁそれにも関わらず全然笑えないというのが一番問題なのだが。

こういうシンプルなロックンロールで盛り上がる事自体を否定するものではないし、事実M10等決して嫌いでない曲もあるにはある。
但し過去に幾らでも優れた遺産があるにも関わらず、わざわざ現代に労力とコストを掛けてこれをレコーティングして販売する作り手側の気は到底知れない。
本作がセルフ・リリースというのはつまりそういう事だろう。