Jorja Smith / Falling Or Flying

J Husの近作にJorja Smithがフィーチャーされていたのはやや意外に思ったが、J Hus側からの一方的なアプローチという訳でもなかったようで、本作では逆にJorja SmithがJ Husを招いており、M1、M2と続くパーカッシヴでポリリズミックなビートからも、生存戦略としてアフロ・ビーツ/アフロ・スウィングを採用したような印象を受ける。
と言ってもビートを構成する音色自体は生ドラムやパーカッション類が中心でトラップ/ドリルの要素は皆無なので、広義のアフロ・ポップと言った方が適切かも知れない。

以前から(随分と批判にも遭ったようだが) アマピアノを借用したり、アフロ・ポップに目配せするのはこれが初めての事ではないようだが、タイミング的にどうしても打算的で節操が無いような気がしてしまう。
冷静に考えれば、Janelle Monáeは良くてJorja Smithは駄目だというのは全く以ってフェアではないように思えるが、そこはやはりプラスαがあるか無いかの違いに依るだろう。

加えてそれがシグネチャだと解っていても、やっぱりJ Husの声が鬱陶しくて好きになれない。
(J Husが歌っているのは高々1曲だけなのだが。)
但し「Beautiful And Brutal Yard」とは異なり本作はアフロ・ビーツ一辺倒という事はなく、従来のイメージに沿ったブルージーなネオ・ソウルも勿論ある。

アフロ・キューバン・ジャズとスピーディなガラージ(と言うかUKファンキー?)を混ぜたようなM3は文句無しに格好良いし、アコースティックなポップ・パンク風の M7もフックになっている。
だがそれにしてもドラム・ビートを構成する打楽器の音量、特にキックが一般的なR&Bに較べて明らかに大きく、ビート・コンシャスなサウンドを狙ったのは先ず間違いない。