The Roots Live

ほぼ1年振りのThe Rootsのライブ。
スーザホンとサポートMCが居ない他は似たようなライブ構成。
バンドだけにライブでのThe Rootsはロックやファンク色が強く、それはそれで盛り上がるし良いのだけれど、ロックスターみたいなギタリストのパフォーマンスには若干引いてしまうところもあり、やはり「Proceed」のようなクラシックにこそ興奮を覚える。

改めてステージ上のThe Rootsを観ていると、1ヵ月前に同じ場所で観たDe La Soulと比べてしまうからかも知れないが、メンバの見た目もバラバラだし、件のロック色もあって、凡そヒップホップ的では無い印象を受ける。
それでもギリギリのところでThe Rootsをヒップホップとして成立させているのは、Black Thoughtの存在なのだと再認識した。
ライブ冒頭、ドラムとパーカッションだけのビートに乗せて確かなスキルを誇示するようにラップすBlack Thoughtの姿は、個人的にこのライブのハイライトの一つだった。

?uestloveが優秀なドラマーであり、才知に富んだプロデューサーである事は疑う余地も無いが、Black Thoughtにはその陰に隠れて存在感の薄いラッパーだと言う印象があった。
スキルが確かなのは間違い無いのだが、声やパフォーマンスに特徴的な部分は無いし、これと言った客演も少ない。
大袈裟な言い方をすれば、替えの効くラッパー、そんな印象すらあった。
The Rootsがメンバの入替りが激しいグループである事もその印象に拍車を掛けたかも知れない。

Brian Colemanの「Check The Technique」の中で、?uestloveとBlack Thoughtはお互いがどれ程タイプの異なる人間かという事をしきりに強調していた。
The Rootsはヒップホップが好きで仕方無いナードなジャズドラマーと、彼とは180度対照的なギャングスタのラッパーによって始められた、と。
その不良性の中に、自分にはないヒップホップ的なもの見出しているが故に、恐らく今でも?uestloveはBlack Thoughtを必要としているのだろう。