Rusko / O.M.G.!

どんなトレンドにも廉価版やセルアウトは付き物だが、Ruskoの音楽はまさしくダブステップの廉価版で、言うならばハイプである。

このサウンドダブステップから受け継いだ点は、過剰な重低音と遅いBPMだけで、ここにはディストピアへの憧憬も無ければダークネスの美学も無い。
この軽薄さには流石の変化に寛容なダブステップのオリジネイター達も拒否反応を示すだろう。

この作品は10年前にはダサ過ぎて聴けなかった類のチープ極まりないシンセのフレーズや装飾音の数々で溢れ返っているが、00年代にそれらの音をフロアに引き摺り出し、ヒップに響かせた張本人であるDiploがこのハイプに加担している。

これは正に00年代の2大トレンドである、ダブステップとベース・ミュージックのキマイラのような音楽で、魅力的なハイプである一方で、そのアイデアは少々機を逸したような印象も受ける。
もう1年早くリリースされていれば、もっと新鮮に響いたかも知れない。

ベース・カルチャーは10年代をサヴァイヴ出来るか、その命運はRuskoも参加したM.I.A.の新作に懸かっている、そんな気がする。