Diplo / Blow Your Head Dubstep

Mad Decentが下世話極まりないRuskoの作品をリリースした事はDiploによるダブステップのポップ化への加担を印象付けたが、このコンピレーションを聴く限り強ち間違いでもなかったようだ。

本作から聴こえてくるのはBurialやKode9、或いはPinchらが推進してきたディストピア・ミュージックとしてのダブステップ(それは確かに一昨年くらいまではこのジャンルの主流だった)から遠く離れたDiploらしいアッパーで猥雑なサウンドで、SkreamとBengaが駄目押したダブステップのポップ・フィールドへの進出と確かにリンクしている。

けれどもこのコンピレーションの主役は圧倒的にJames Blakeである。
UntoldをリミックスしたM10やオリジナルのM12は何れも構造上比較的シンプルであるにも関わらずシンセ音等のアタック・ポイントの不定形さや唐突なタイミングにより生じるズレ、更に各音のテクスチャや位相の不統一性等によって音数だけでは汲み取れない複雑性があり、ソウルフルなヴォイス・サンプルと相俟って奇矯なファンクネスを醸し出す。

そのある種混沌としたプロダクションは漸く「Cosmogramma」以降を感じさせるもので、フルレングスが楽しみで仕方無い。