Unkle / Where Did The Night Fall

最近ある雑誌でJames Lavelleの近影を見て些か愕然とした。
かつてのスタイリッシュな英国産Bボーイの面影は全く無く、まるでMorrisseyMark Stewartと見紛うような中年がそこには居た。
(どうしてあの国の男性は年を取るとオールバックにジャケットを着込むのだろうか?)

そのルックスを見た時、この10年全く時代にリンク出来なかったUnkleの音楽の事を思い、妙に納得する感覚があった。
00年代の軽薄な空気の中で、エスカレートするJames Lavelleのドラマティックで暑苦しいロック趣味は確かに浮いていた。

90年代後半にUnkleを愛聴した人間は、RadioheadThe Verve等のロック好きか、またはMo' Wax及びDJ Shadowに惹かれたヒップホップ好きに大別されると思うが、自分はどちらかと言えば後者の立場でUnkleを聴いていた。
その後のUnkle = James Lavelleの凋落を目の当りにして、自分が好んだUnkleとはつまるところDJ Shadowだったと考えている。

この新作を聴いてもその考え自体は変わらないが、レコード屋で見たポップには「LCD Soundsystemみたい」だと書いてあった。
流石にそこまでは賛同出来ないものの言いたい事は理解が出来る。
要するにLCD Soundsystemに象徴される時代の空気、悪い言い方をすればチープさ、良い言い方をすれば軽快さがこのアルバムのサウンドには(比較的)ある。

要因の一つには大仰この上無かったギターサウンドが幾分か控え目になった点が挙げられるだろう。
とにかくコード弾きのギターとエレクトリックなビートの組合せが大の苦手な自分としてはこの変化だけでも随分と好感が持てた。

加えて比較的多用されている女声ボーカルも暑苦しいトラックを良い具合に中和している印象を持った。
(特にタブラの音色が印象的な2曲目とニューウェイヴィな6曲目は結構気に入った。)

それに引替え相変わらずMark Laneganの歌声のまぁ鬱陶しい事。
何故それ程James Lavelleがこの人を好きなのか全く以て理解出来ない。