Gorillaz / Song Machine / Season One

f:id:mr870k:20201219214328j:plain

シンセポップ一辺倒で、このプロジェクトのアイデンティティとも言えるゲストも大幅に抑えた前作に較べて、再び豪華で多彩な面子を迎えて曲調にもスタイルにも幅のある作品になった。
M4のSchoolboy Qのラップを聴くと、特にラッパーの不在とヒップホップの要素の欠落は、前作に地味な印象を与えた上で大きかったと思わされる。

M1はRobert Smithの歌声がJames Murphyに酷似した、猛烈にLCD Soundsystemをフラッシュバックさせるディスコ・パンク。
続くBeckが歌うM2はTalking Headsのようで、Beckがライヴで「Once In A Lifetime」を演っていたのを思い出した。
Peter Hookが参加したM7はまんまNew Orderで、比較的ポスト・パンク/ニューウェイヴ色が強めの作品だと言えるかも知れない。

Kanoが貫禄のラップを聴かせるM9のビートは、ドラム・プログラミングをMike Will Made Itが手掛けている。
ハット音こそトラップっぽいがあからさまではなく、この高名なトラップ・プロデューサーもまたネクストを模索している様子が垣間見れる。
注目のSlowthaiを迎えてパンクとダンスホールとグライムを掛け合わせたような(少しThe Specialsを思い起こさせる)M11では、如何にもGorillazらしい節操の無い折衷主義が発揮されている。
M10はマリのシンガーFatoumata Diawaraの素晴らしく深みがあり含蓄に富んだ歌声(Disclosureの近作でもハイライトの一つになっていた)をフィーチャーしたオーケストラルなソウルで、そのバレアリックな質感は同じくSimian Mobile DiscoのJames Fordが手掛けたJessie Wareの近作にも通じる。

M5のシンセポップはSt. Vincentを迎えた割に、然程存在感がある訳でもないコーラスでの起用に不満を覚える。
根本的にDemon Albernのヴォーカルが好きではないので、お前が歌うんかいと思わず突っ込みを入れたくなる。
ついでM2でもBeckを差し置いてお前がラップするな(実際は大してしてないのだけど)とも。