The Qemists / Spirit In The System

The Qemistsの音楽を初めて耳にしたのは、DJ Food & DKのミックスCDに収められたRoots Manuvaのリミックスで、DJ ZincとPendulumに挟まれたそのロッキンなトラックには何故かキャッチーで癖になる存在感があり、Cut Chemistのトラックと並んでそのミックスの個人的なハイライトだった。

それから暫くしてバンドは晴れてNinja Tuneからのデビューを果たし、レーベル史上最も浮いた存在となった。
デビュー・アルバムにはWileyやMike Pattonの参加というトピックにも引き摺られて迷う事無く飛びついたものだが、良くも悪くもRage Against The Machine好きのバンドがドラムンベースを取り入れて見事にThe Prodigyチルドレンになりました、と言ったアッパーなサウンドのオンパレードで、自分が惹かれたのはStrictly Kevのミックス・センスに依るところが大きかったと実感した。

セカンドとなる本作では、音色やリズム・パターンの多様化やダブステップへの目配せなどの試行錯誤の跡が散見出来るものの、前作のイメージを打破する程の飛躍は無く、相変わらず大仰な印象が残る。

しかし僅かな例外を除いて、エレクトリックなビートとロックなギターの組合せに吐気を覚える自分としては、決して好きにはなれない類のサウンドではあるにも関らず、不思議と嫌悪感は無く聴けるどころか、たまに高揚すら感じてしまうのは、それは自分にとって「僅かな例外」の代表であるNine Inch Nailsを思わせる何処か無機質で情感に乏しいギターの音のせいかも知れない。

まぁNine Inch NailsにしろThe Qemistsにしろ、客観的に見れば充分暑苦しいのは確かだけれども。