Matthew Herbert / One Club

成程やはり「One」シリーズのコンセプトは二作目にしてクリアになってきた。
前作「One One」が「一人の人間」が複数の異なる場所で発した音をソースとして構築されていたのに対して、本作はクラブという「一つの空間」で、一定の時間の中で複数の異なる人間によって発せられた音を素材としている。

一貫したコンセプトの中にも作品毎にスタイルを変えてくるところがMatthew Herbertらしく、前作が本人による器楽音を用いた電子音響ポップス的サウンドであったのに対し、本作は過去のRadioboy名義で使用された具象音のサンプリングとカットアップで形成される物音テクノが基調となっている。
(今思えば昨年のTaicoclubでのパフォーマンスは正に本作の再現だった。)
Matthew Herbertらしくコンセプト先行な感は否めないが、それでも声の多用であったり展開の唐突さの面で、Radioboyとはまた違ったスラップスティックさもある。

シリーズ最終作となる次作のテーマは「豚の一生」との事で、例えば豚が産まれてから死ぬまでに発した音を素材にしたハウスなんて想像するだけで堪らない。
(曲タイトルは日付と見た。)