R.E.M. / Collapse Into Now

遂に本作で、R.E.M.の自身のキャリアをなぞるような動向が決定的になった。
勇壮でヒロイックな冒頭2曲は宛ら「New Adventures In Hi-Fi」のようで、続く数曲の弾けるギターとマンドリンアコーディオンのアコースティックな音色は、「Out Of Time」〜「Automatic For The People」を彷彿とさせる。
その後は「Document」の疾走感との間を往復し、Peachesの歌声はまんま「Shiny Happy People」におけるKate Piersonを甦らせる。

それでもネガティヴな印象は全く無い、と言うよりもMichael StipeのヴォーカルとMike Millsのコーラスされあれば、例え童謡だろうと感涙出来る自信がある自分には、R.E.M.について冷静に良し悪しの判断を下す事など到底不可能だ。

本作のラストでは再びM1のイントロが高らかに鳴り響くが、その循環構造に思わず繰り返し再生ボタンを押してしまう、などという事は一切無くて、寧ろ「Document」や「Out Of Time」や「Automatic For The People」の方に手が伸びる。
Bob DylanThe Rolling Stonesの新譜には大した興味も示さないくせに、やたらとライヴは有難がる親の世代の心情を初めて何となく理解出来るような気がした。

既に素晴らしいアルバムが14枚もあるのだから、まぁ良いじゃないかと、要するにそういう事なのだろう。