Foo Fighters / Wasting Light

95年の1stの時点ではFoo Fightersがまさかこれ程ビックなバンドに発展するとは思いも寄らなかったが、今ではNirvanaをDave Grohlがかつて在籍したバンドとして認識している若者だって少なからず居る事だろう。
グラミー賞を取るくらいのバンドにとっては宿命なのかも知れないが、Foo Fightersの音楽に関する「王道アメリカン・ロック」などという表現には違和感も無くはない。
凡庸を平たく言うと王道となるのは解るとしても、そもそもアメリカン・ロックとはどういう音楽を指すのだろうか(自分はThe BandとかThe Allman Brothers Bandとかを想起してしまうのだが)。

曲にもよるがFoo Fightersの音楽はDave Grohlの出自であるワシントンDCの(後にエモへと派生する事になる)ポスト・ハードコアのポップ版で、日本で言うならEastern Youthなんかに近いと思う。
フックに富んだリズムとアンサンブルの重視、時に叙情的なメロディと絶叫するヴォーカル・スタイル、本作はFoo Fightersの作品の中でもDave Grohlのルーツがストレートに反映されている(そのまんまストーナーな曲もあるにはあるが)。

このある種の原点回帰は今年が「Nevermind」から数えて20年目に当る事と無関係ではないようで、Krist Novoselicが1曲でベースを弾いている他、ディストーションを耳当たり良く(ある意味人畜無害に)仕上げる事に関しては右に出る者が居ないButch Vigがプロデュースを担当している。

まぁ進歩が無い事は確かだが、例えば明らかにやる気が無い頃のWeezerなんかと較べると遥かにソング・ライティングもアレンジメントも良く練り込まれていて、どの楽曲にも変わらぬDave Grohlの熱意を感じる。
つくづく本当に真面目な人なのだろうと思う。