The Cribs / Night Network

f:id:mr870k:20210703232355j:plain

兄弟バンドらしく、The Beach Boys風の甘ったるいハーモニーが売りではあるのだろうが、上手いとはお世辞にも思えない。
他には申し訳程度のファズ・ギターで歪ませただけで何の変哲も無いポップス。
何もポップスが悪い訳では全くないが、その語が想起させるプロフェッショナリズムやウェルメイド振りに関心させられるといった事もまるで無い。

メロディはキャッチーには違いないが、ここでのそれは凡庸と同義語だ。
ブリット・ポップ期のイギリスにはこういった人畜無害な感じのバンドが腐る程居た気がする。
イメージだけで言うとAshとか、一発屋で終わったSilver Sunとか。
(記憶が朧げなので実際には全然違う可能性大だが。)

Dave Grohlのスタジオで、セルフ・プロデュースで作られたというから、敢えてローファイなプロダクションを狙ったのは想像に難くない。
その割には青臭く微妙に調子っ外れで不安定な歌声のヴォリューム・レベルが高過ぎて神経を逆撫でするし、ミキシングの上ではコーラスが邪魔になっているとしか思えない。

勿論不安定さがチャーム・ポイントになる事は多々あり、それにはあくまで他に突出した何かがある事が前提条件だが、音響上の極端なところは無いし、全てに於いて平凡以下。
幾ら最近目ぼしいリリースが無かったからとは言え、Lee RanaldoやDave Drohl、或いはJohnny Marrの名前に躍らされて手を伸ばしてしまった事を激しく後悔する。