Dirty Projectors + Björk / Mount Wittenberg Orca

「Biophilia」と同時期に購入したこともあってBjorkの歌声が他者の声との和音の中でどう響くのかという点に興味を持って聴いたが、今やそんな事はどうでも良くなった。
Dirty Projectors「&」ではなく「+」というところが本作のミソで、Bjorkにゲスト・ヴォーカリスト以上の存在感は無い。

アルバムはベースの敷いたレールの上を進んでいくが、「Bitte Orca」で大仰な存在感を放っていたギターは一転して慎ましやかで、ドラムに至っては無くても成立する、と言うか必要不可欠な要素ですらない。

本作の主役は「歌」でもなく、Amber CoffmanとAngel Deradoorianの「声」である。
それも「声を楽器的に使用」なんていう紋切型の表現に収まり切る生半可なものではなく、この声は本当に楽器そのもので、生身の人間の声がこれ程変幻自在な、完璧にコントロール可能な音になり得るという事に実に驚かされる。

しかもこの音には伸び代が未だ未だある。
この楽器を手に入れたDave Longstrethは楽しくて仕方無いだろう。
部分的にエフェクトを掛けてみたら、パンニングにもっと工夫を凝らしてみたら、と自分だったらと思うと妄想が止まらない。